性能
電子冷凍素子(TEC)は、可動部分のない小さいヒートポンプです。
素子は取り付け場所に制約があり、高い信頼性が要求され、フロンを嫌う様々な用途で使われます。
この素子は直流電流で動作し、電流の方向を切り換えることによって加熱冷却することができます。これは熱力学の法則と電流により、素子の片面から反対の面へ、熱を移動させることができるからです。
発熱量の簡易計算方法と電子クーラーの選定目安
内部の発熱体によって高温化した密閉筐体を、目標温度(許容)まで下げる為の簡易な計算方法です。
(盤クーラーの機種選定には充分余裕を見て下さい)
- まず、筐体の表面積を出して下さい。(自立床置タイプを除く5面です。6面の場合もあります)
(高さ×幅×2面)+(高さ×奥行き×2面)+(幅×奥行き×1面)=筐体表面積(㎡)
- 次に内部発熱量の計算です。※熱通過率(W/㎡・℃):5.5(5.0~6.0)
(内部実測最高温度-周囲最高温度)×表面積×熱通過率(5.5)=筐体内部総発熱量(W)
- 1℃下げるための必要冷却能力を算出して下さい。
筐体内部総発熱量 ÷(内部実測最高温度-周囲最高温度)=(W/1℃)
- 内部を目標温度まで下げる必要冷却能力を算出します。
(内部実測最高温度-目標温度) × (W/1℃) = 冷却必要能力(W)
※外気温度より筐体内部温度を低温にする場合は、侵入熱が発生します、加算してください
(周囲最高温度-目標温度)×(W/1℃)=侵入熱(W)
- 安全率:通常の数値は1.2です。
※安全率:筐体の密閉度、内部の空間度、設置場所の風通し・伝導・対流・放射等の熱エネルギー・計算誤差等
(冷却必要能力+侵入熱) × 1.2 = 電子クーラー選定基準冷却能力(W)
※安全率の数値:直射日光・炉の附近などに生ずる輻射熱・隣接する機器からの伝導熱等によって大きく異なり、数値が2.0以上になる場合もありますので、充分に御配慮願います
※設計中の場合は筐体内の収納機器別発熱目安表から電子クーラーの選定もひとつの方法です。
取付方法・基本説明
<冷却方式の基本説明>
高温化したエレクトロニクスは、誤作動や故障発生の原因になるだけでなく、部品のライフサイクルが著しく短命になります。
従来、筐体内を冷却する場合は下記の様な一般的な冷凍サイクル方式で内部温度を下げていました。
1.ファンモーターで外気を取り入れる方法
→ホコリ、チリの侵入を防ぐ事が困難。
2.ヒートシンクとファンモーターを利用した熱交換器
→高温場所での使用や外気温度より下げることができない不利な条件がある。
3.冷媒方式(フロン等のコンプレッサー方式)
→高温の場所では能力が十分発揮できない場合があり、また、振動のある場所には不向き。
→強制冷却のため、冷え過ぎ、結露の発生原因等に上げられ、特に連続運転での長期使用には不都合
ペルチェ素子を使用した電子クーラーは、低温側で吸熱し、高温側で放熱する温度差を利用した熱の移動現象(ヒートポンプ)の原理で動作し、簡単な構成で温度調整ができ、電気配線のみで作動し、組込みや取り扱いが簡単にできます。このため、上記に上げた一般的な冷凍サイクル方式(コンプレッサーや冷媒方式等)の問題点を解決することができます。
<AC入力タイプ>
リード線(平形コード)
・200Wクラス以上:VFF1.25m㎡ L:約300㎜以上
・50~200Wクラス:VFF0.75m㎡ L:約300㎜以上
●リード線:nPX-200(AR/R)以上の製品は、ブロック別独立冷却方式の為入力用リード線が複数です 。各自同様結線して下さい。
●入力電源:AC入力仕様の電子クーラーには、スイッチング電源が内蔵されています。規定と異なる 入力を投入すると、製品の破壊につながります。
<DC入力タイプ>
リード線(平形コード)
・リード線:VFF0.75m㎡・VFF1.25m㎡ ・L:約300㎜以上
・AWC24:L100㎜以上 nCAシリーズ(nCA-200シリーズ省く)
・VEF0.5m㎡(ファン用)
ポイント
弊社独自の冷風環流方式は筐体内部目的温度が外気温度付近の場合は、断熱筐体及び温調システムは必要としない場合が大半です。
外気温度より内部温度を大きく下げる場合は断熱筐体をご利用下さい。目的温度に合った温調器を採用下さい。
目的温度の精度を必要とする場合は、冷却能力に充分余裕をみてください。
主な使用例
制御盤(工場関連)・情報機器(ネットワークシステム)・鉄道自動制御システム・通信関連システム・道路関連システム・道路交通管制システム・医療関連システム・警備関連システム・電力関連システム・清掃関連制御システム・防衛関連機器熱対策・衛星関連機器熱対策・環境関連システム・気象関連システム・教材理科機器・監視用カメラ・レーザー関連機器・航空・船舶制御機器・保冷ケース・土木建設機器・サーバーラック
※ 22年間納入実績により抜粋、その他多くの冷却用途に使用されております
冷却手段比較表
こちらの内容は制御盤制作会社のアンケートを参考にして作成したものです。